「桜の左手」
2010-04-06


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今年は桜の大当たり年であった。
東京・大阪・長野。山梨では樹齢2千年(人様のところで千年と書いてしまったが、調べ直したら倍でした。Mさんゴメンナサイ)の神代桜まで観た。

写真は私が小学校に植えた卒業記念樹、学校は廃校になっても桜は残っている。
で、突然だが2005年、6年前の文章にちょっと手を入れてみた。



「セナの右手、桜の左手」
   
F1ドライバーの名レーサー、アエルトン・セナが亡くなってもう何年になるのだっけ。
あの時は、何となく胸騒ぎがして、ホイとTVをつけたらいきなり訃報の第一報が入った。 (どうしたわけか、私はこーゆーことに妙にカンがいい体質らしく、阪神淡路大震災の時もNY貿易センタービル爆破の時も、「何だか胸騒ぎが・・・」でテレビのスイッチをつけた 直後が臨時ニュースの第一報なのである。 このような予知?能力は別にオカルティックなものではなく、生物学的にきちんと説明できる現象なのだが、それはまた後日ね。)
レース中のクラッシュでセナの車は大破、即死だった。
なにしろ無敵の王者の突然の死に、TVはくり返し、その一瞬の映像をスローモーションで流し続けた。 カメラはずーっと走る車体の後ろをとらえている。
クラッシュ、後ろの座席シートからヘルメットがガクンッと見え、そして彼の右手がハンドルを離れ、肩のあたりで左右にただ一度、振れた。
     

♪咲いた桜にーぃなぜ駒ぁつなぐ、ヤレ、駒が勇めばエーェ花が散る♪

好きな、詠み人知らずの俗謡である。      

私の住む東京南部、今年の桜前線は小学校の入学式とかさなるいいタイミングであった。
というわけで、これをカチャカチャやっている今は、桜前線おしまいの週末である。
といっても、「桜前線」って、ほとんど江戸時代の園芸品種「ソメイヨシノ」が九州から北海道まで咲き上がっていくほぼ一ヶ月のことなんだけどね。
沖縄の「寒緋桜」は1月だし、遅咲きの吉野山上、5月になってからの青森・弘前城のしだれ桜などなど、日本は本当に「桜天国」である。
     
まったく、西行法師(「願わくは花の下にて春死なむ その如月(きさらぎ)の望月のころ」)と本居宣長(「敷島の大和心を人問はば 朝日に匂う山桜花」)がなかったら、そして江戸時代という長い平和の期間に起きた観賞用園芸の新品種大ブームがなかったら、日本はここまで「サクラサクラ」した国だったろうか。
「万葉集」は梅が中心、染め物屋さん用の「日本家紋便覧」(あるのよ、そーゆーのが。)を見ても、そのほとんどが植物文様なのに、桜の紋はびっくりするほど少ない。 (有名なのは「日本大相撲協会」の紋章くらいじゃないかしらん。)
桜は日本の園芸史上からみると、まだ実はスターになって浅い花なのだ。
人気品種のソメイヨシノは、雨にも風にもウィルス病にも弱く、樹齢も80年ほどしかない。

養母の庭に植えられた「斜め桜」もソメイヨシノである。
しかし彼は(「桜の精」は男だそうな・それも美男子)その樹齢さえ全うできない。
遺産相続の都合で、切り倒されるからである。
森を背に、日差しを求めて斜めに長く伸びるほどユニークな根性の持ち主なのに。

なまぐさい話はしたくないが、私はかなりやっかいなケースの相続を背負ってしまった。
下手をしたら複数の裁判沙汰、しかもこちらが訴訟人・ 見も知らぬ相手を訴えなければならず、勝訴しても現実問題として
「じゃあハイ。」
なんて即払えるような弁護士報酬額ではない。
こうなったら、あるいはもう全面的に「相続放棄」になるかもしれない。
いずれにせよ荒れ果てた養母の家と庭は、近いうちに更地にしなければならない。

とんでもなく長い(96段!)石段の途中という立地の不自由さはそりゃもう大変だが、それなりに風雅な家屋と庭だったと思う。
今は廃屋・廃園だが。

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